【感想】シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 【ネタバレ】

ガッツリしたネタバレ感想です。ご注意下さい。

あと自分、そこまでエヴァの設定に詳しい人でもないので、自分で解釈している部分もあります。

以下ネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭、8号機のバトルからQ終了直後の状態からスタート。大やらかしをして抜け殻状態で塞ぎ込んで何もしようとしないシンジに対し、アスカの言う「自己アピール」や「メンタル弱すぎ」という単語はTVシリーズ放送当時には無かった言葉だけど、90年年代すべての若者に共感されたシンジの繊細さが、今やこんなありふれた単語で片づけられてしまうのに時代を感じる。

Qでは消息不明だったというか、みんなサードインパクトで死んだと思っていたトウジ、ケンスケ、ヒカリ等一般人の一部は生き伸びており、まるで戦後のような生活環境で逞しく生活していた。エヴァといえば疎開で誰も居なくなった街、というイメージが強いので、ジブリ細田守みたいな土くさい生活感溢れる描写がすごくヱヴァらしからぬ感じがする。その中でシンジは徐々に立ち直いっていくが、アヤナミレイ(仮)は消耗品のクローンなため長く生きれなかった。さんざ空っぽの器が満たされいく過程を描いて、制服まで着せ綾波そのものにしておいてこの結末、嗚呼。しかしこれがシンジの決意になる。

 

舞台はヴンダーに移り、ヴィレとネルフの最終決戦。ヴンダーとネルフ艦の戦艦バトル。決戦仕様の2号機、8号機と量産ヱヴァとのバトルと戦闘シーンも十分にあり。13号機を倒すべくアスカが眼帯取って能力解放、しかしそれが誘われていたようで13号機に取り込まれてアスカ消滅。アスカもレイと同じくクローンだったらしい。

初号機も奪われ、万策尽きた所で世界の命運はシンジに託された。ここでミサトさんや本心が吐露される。破でシンジの好きなようにさせサードインパクト起こした責任は自分にもある手前、隊員の前では厳格に接するしかなかった。ヴィレ隊員達も全てシンジの所為にするしか感情の持って行き場がなかった。Qの時点でだいたい察しはついたけど、この辺はQの段階でほんの少しでも描写していればなぁ・・・9年もかかったので。

 

マリと一緒に入った最終決戦場では物理法則が通用しないのでワープして初号機に搭乗。コクピットにはQでは行方不明だったレイが14年間ずっとそこに居た。そしてラストのフィナーレを飾る「エヴァンゲリオンのラスボス」は、13号機を操る碇ゲンドウ。スゲー超王道だった! と思ったら撮影セットみたいな背景で槍をつつき合うシュールな絵面が展開されて「???」となる。やはり王道ではなかった。けっきょく武力では解決しないという事で対話になる。

 

ここからシンジさんによる、ヱヴァで特にこじらせた人達の連続カウンセリングがスタート。まず最初はゲンドウ、今までの心情が洗いざらい語られる。まさかTVシリーズが始まりゲンドウの内面が語られるなんて機会、一生ないと思ってた。最後は親子で腹を割って話して、シンジの中にユイを見出して浄化される。

続いてアスカ。新劇で名前が式波になったのは、レイと対になるクローンという設定にしたから、という事なのかね。旧劇のラストシーンを彷彿とさせる海辺で ヒェッ となるが、会話内容は終始穏やかなものだった。シンジに対する恋愛感情のようなものはあったが、アスカの方はこの14年で居場所を得ていた事に気づき浄化。

TVシリーズの記憶を持っている素振りだったカヲル君。ループ物の主人公みたいにシンジを救うため何度も繰り返しやってたらしい。「渚指令」と呼ばれてたのは、ゲンドウのポジションだった世界線もあった、という事なのかね。シンジを救う目的が達成され浄化。

最後のレイは、撤収される撮影セットでTVシリーズも旧劇も含めた全てのエヴァンゲリオンの終わりを告げられ、役目を終え浄化。残ったシンジは初号機もろとも13号機を消滅させようとするが、初号機に宿っているユイが脱出させる。これがきっと本来TVシリーズ最終回の時に観たかった光景なんだろうな・・・

 

ラストはシンジの画がどんどん絵コンテに戻っていき「マイトガイン・・・?」と思ったら、約束通りにマリが迎えに来た。全てのエヴァが消滅し、ヴィレが保存していた生物の遺伝子情報が地球に降り注ぎ、世界は救われる。

ラストシーンは、エヴァンゲリオンが存在しない世界(=現実世界)で、大人になったシンジとマリが描かれる。TVシリーズに存在しなかったマリこそがシンジを救う存在だった、という事なのかね。

  

破滅と拒絶で終わった旧劇とは真逆のハッピーエンド。これがエヴァのラストでした。予想してた以上に「ちゃんとしてた」 端折ってる部分も意味をなさなかった設定も多少はあったけど、TVシリーズからほぼ全ての事象に決着つけていたんじゃないかろうか。

コロナで約1年延期したとはいえ、Qから9年も経過しており、おそらく何度となく脚本を推考したのだと思われます。TVシリーズから26年間、一度自分がブン投げたものを、拾い集めて、再構成して、ちゃんと説明をつけ、納得のいく形に納めて、エンターテイメント映画として世に出す、という作業は想像するだけで超過酷そう。ストーリー以外にも、映像面でも演出面でも庵野秀明というクリエイターの集大成なのは間違いないです。

予告も含めると2時間55分という体力使う上映時間でもまったくダレる事なく観れたし、エヴァのラストを飾るに相応しい内容だったと思います。

 

 

自分の予想だと世間の反応は、キッチリ終わらせた事への絶賛7、無難というかベターだったという感想が2、旧劇みたいな人の心をえぐるような尖ったのが観たかったというのが1。くらいではないかと。

自分は2かなぁ・・・いやベターではなくベスト、最善だったけど。

エヴァ前、エヴァ後というくらい90年代以降、数多くのアニメが「ヱヴァっぽい」と言われ、影響を受けてない作品など存在しない、今でも影響力を持ち続けている作品の最期で、演出やストーリーなどで「●●●っぽい」と思ってしまった。特に参加アニメーターが多く共通している、トップをねらえ2、グレンラガンダーリン・イン・ザ・フランキスとかその辺、メタ演出も今やそれほど珍しくもないし、ラストシーンが実写になるのはSSSS.GRIDMANがやっている。冒頭で書いた、シンジのようなキャラが既にありふれているように。放送当時、唯一無二のトガりまくってた設定、演出、構成も今では新鮮味を感じなくってしまったのだなぁ・・・と思ったのです。これも時代の流れなんでしょう。

 

 

エヴァンゲリオンという作品は終わっても、コンテンツは今後も残り続けるわけで、ソシャゲと企業案件コラボとかしまくるのであんまり終わったという感じはしないんですよね。とりあえずスパロボ参戦したらヴンダーは戦艦として使える。RGで13号機出たら買うので発売はいつですか。

あとシン・ウルトラマンめっちゃ楽しみです