12月1日


機動戦士ガンダムNT 感想 
観て来ました。以下ネタバレ



起動実験中に行方不明になっていたフェネクスユニコーンの覚醒に呼応し地球圏に出現。極秘で捕獲作戦を展開する連邦軍にルオ商会が強引に介入。ジオン共和国ではミネバ一党を極秘に匿いつつ、政治家が袖付き残党を子飼いにしており、連邦とジオンとでフェネクス争奪戦を繰り広げるというストーリー。幼少時、一年戦争で孤児となり、少年時代はティターンズの強化人間候補生として生きて来た、連邦軍パイロットのヨナ。友人を売ってルオ商会幹部の地位を得たミシェル。フェネクスパイロットであるリタの3人の若者と、それに加え「シャアの失敗作」と呼ばれる強化人間・ゾルタンが主軸となって展開。登場キャラはみんな大人で青臭い話ではない、それに合わせキャラデザも過度にアニメっぽくなく作風に合っていると思う。主人公側はリタとミシェルは過去の経験から鬱屈してるけど、ジオンのゾルタン君は「撃っちゃうぞー」とコロニーの中でビーム撃ちまくる活き活きしたキャラ、彼は人気でるな。
それと並行して、ファーストからユニコーンまでの宇宙世紀ガンダムにおける、人知を超えた力に対して踏み込んだ言及がなされる。死んだ人間が半透明になって現れニュータイプと会話したり、ビームの威力が上がったり、バリアを張ったりする、ガンダムではお約束的な出来事を本作では、「死んだ人間と交信できるという事は、人には魂がある。それを可能とするサイコフレームに人の魂を組み込めば、人は永遠に生きられる」という理論にまで発展。まぁそれをテンション高く演説する人を、「なんだこいつ」と冷めた眼で見てる軍人さんという構図が実にガンダムっぽいんだけど。そういうガンダムのオカルトを肯定した構成になっているので、超常的な出来事が起こりまくり。小形Pが「ファンタジー」と称していた通り、ガンダムでも最も不思議現象が起こる作品かもしんない。



メカ的な部分では、主役機のナラティブガンダムは、冒頭でルオ商会が確保したマーサおばさん経由で、NT-Dとサイコフレームが組み込まれた機体。B装備のは有線フィンファンネルかと思ったら無線誘導のサイコキャプチャーだった。C装備はオーソドックスにライフルとシールド装備、赤く光るサイコフレームにしろ廉価版ユニコーンという感じ。ナラティブの正体は、昔のPCゲーに登場したり、センチネルで名前だけ存在している「μ(ミュー)ガンダム」という説があったけど、具体的な言及は無かったね。ご想像にお任せしますって事なのかしら。
ゾルタンがIIネオ・ジオングを投入した時、シナンジュスタインを差し置いてナラティブが合体しようとしたのには、それアカーン!とちょっと笑ってしまったけど、そのネオ・ジオングはフロンタルが基礎設計をしており、彼亡き後は技術が途絶えブラックボックスだらけ。動かせはするが、どういう原理で動いているのか解らない異次元マシーンだった。過去にそれを察知したリタが、フェネクスで倒すため状況を整えていたという。そんなにヤバい代物だったのかアレ・・・。
そして最もネタバレ要素である、シルヴァ・バレト(バナージ機) ガエルが使ってたやつ改修したのかね。ビームマグナムはユニコーン以外が使うと腕が吹っ飛ぶので、交換用の腕部があるあたり芸が細かい。バナージやジンネマン、フラスト、タクヤ等UCのキャラが登場した事により『UC2』の真実味が帯びて来た。ユニコーンは解体したと言ったが、あれは嘘だ。だた封印されてただけ。フェネクスがあそこまで人知を超えた力を発揮した以上、ミネバが危惧した通り、ユニコーンバンシィを巡ってまた戦いが起きるのかもしれない。


▼総評
時代に翻弄され過酷な運命を辿った若者達の物語は、単体のドラマとしても十分見ごたえあり。ロボアニメとしては、CGはあまり使わず大部分が手描きで大満足。クライマックスでヨナがデブいパイロットスーツを脱いでナラティブからフェネクスに乗り代え、デストロイモードに変形してIIネオ・ジオングを撃破というロボアニメとして十分なカタルシスもあり。タイトルになっているNT=ニュータイプ論としてはガノタとしては長年「富野演出とはこういうもの」と認識していたモノを、理論化して応用しようとしたのは今までにないアプローチで興味深いといえます。
ガンダム新作として、UC後日談として、宇宙世紀ガンダム考察学としても、バランスがとれており、NEXT UC100の叩き台として十分な役割は示せたと思います。

最後の閃光のハサウェイの予告は、キャラはハサウェイ、MSはペーネロペーが登場。next WINTERとの事なので最低でも1年先って事ですな。


■『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』公式サイト
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