『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』感想

観ました。以下ネタバレ





















▼本編
最初に開発中のクアンタが登場するのは、逆シャアのオマージュですな。異質感極まりないサイケデリックな背景をバックにしたOPクレジットは異星体との戦いの期待感を高めて良。
そしていきなりの劇中劇に笑った。黄金大使活躍しすぎ。そしてディフォルメ作画でみんな顔が濃い。ガンダムマイスターは顔に傷がある刹那っぽい人はともかく、他の誰だよ!? 女子が一名いたぞ! 沙慈の「僕、居なかったな・・・」は切なかったが、00世界ではガンダムは悪役だったんだけど、どうやら世間の認知度が変化している模様。
2年間での各キャラの動向などを描きつつ、ELSの出現、被害拡大、解析、対策立案、そして人類総力戦と、この流れはまさに怪獣パニック映画なのでテンポよく進む。ELSとの戦闘シーンは凄まじい数を相手にする絶望感はよく表現されていたけど、数が多すぎる上にスピード速すぎてよく分からなかった。大出力火器で大軍を掃討っていうシーンが多いので、ずっと見てると単調になってくるんだよなぁ。クオリティは凄いんだけど、なんかサバーニャ、ハルート、ブレイブ、ジンクスIVが必死こいて戦ってたって印象しか残らなかったというか。つか、ああいう超大軍を相手にするというシチュエーションは『トップをねらえ!』というよりも、ビジュアル的には第3次スパロボαのOPムービーの方なんじゃないかと。新キャラ・デカルトは中盤で早々に退場。ガデラーザ共々あんだけ思わせぶりな扱いしといて、なんだったのあの人・・・? 
後半でようやくクアンタが起動。人類の切り札となった刹那が仲間の援護を受けELS中核へ突き進むのは大いに盛り上がったが、トランザムでバスターキャノン一発撃ったくらいでほとんど戦闘しなかったという。「戦いを終わらせるための機体」だし、目的はあくまで対話なので、ELSをバッタバッタと倒しちゃいけないんだろうけど、もうちょい活躍シーンが観たかった。
そして最後はクォンタムバーストでELS対話。ELSの目的を理解した刹那とティエリアはELS世界へ行くためにワープ。したらELSが一斉に活動停止。ELS惑星は巨大な花になって地球は救われましたでエンドロール。そしてエピローグは・・・・・・古谷徹声の「A・E・レイ」とはなにもんだ? そして本編から50年後、すっかりお婆さんになったマリナ姫の前に、金属生命体の世界に居たせいかメタリックになってしまった刹那が帰還するのだった(完)



▼キャラ
劇場版は刹那の話であり、最初から最後まで刹那がメイン。他のソレスタメンバーの内面はほとんど掘り下げられず、ロックオンもアレルヤも戦闘員に徹してた。まぁセカンドシーズン終了の時点で人間関係は整理されてるからね。ハレルヤはなんか妙に気合の入った生身アクションシーンがあったけど。クアンタに同乗してたミニティエリアを見て真マジンガーのおじぃちゃんを思い出したのは自分だけではないはず。フェルトがヒロイン扱いだったけど、やっぱり報われませんでした。まぁ、ああなるよなあ・・・・ミレイナの告白は微笑ましかったです。
連邦軍サイドは、とうとうグラハムさんが殉職なされた・・・今まで散々空気を読まなかったグラハムさんがついに「ここは俺に任せて先に行け!」をやり、最期は特攻して血路を拓くというこれ以上ない散り様だったので本望。アンドレイも誰とも絡まず殉職。もう連邦軍の死亡率が凄い事になってそうだが、しかしみんなのコーラサワーはやはり死ななかった。嫁が連邦軍重役なのにイノベイターについてまるで理解してなかったり、パジャマ姿を披露したりと。人類存亡の危機でもこいつは変わらんな・・・・そしてコーラサワーと同等にネタキャラ扱いだったのがカタギリ。人類存亡の危機にイチャイチャして童貞喪失までした(推定)この人が最期の勝利者な気がする。ミーナは特に説明なかったけど、ネーナの同型クローンなんだろうなぁ・・・。



▼メカ
クアンタのクォンタムシステム発動は、必殺技形態というわけでもないのでキット化再現はされないかな・・・。サバーニャは肩のセンサーは出してたけど他は特にギミックなし。ハルートはなんか脚にブースターみたいなの装備してたけど、6つ目モードの頭部もつけてバリエありそう。GNシザービットなる武器は戦闘シーンが目まぐるし過ぎて確認できず。そしてラファエルは、実は宇宙戦艦ソレスタルビーイングの中に残ってたガ・シリーズにセラヴィーの再利用品を乗っけてただけの間に合わせ機体でした。上の人は、まさか本当にほとんどセラヴィーとは予想外。そりゃ連邦軍の監査が入ってる状態で誰にも気付かれずに完全新型ガンダムなんて作れないわな・・・しかも中盤で退場する使い捨てだったし。デュナメスリペアは背中がコンデンサーになっただけ? ライルが乗って登場すること自体がサービスみたいなもんですな。ケルディムとアリオスも健在で、外伝でフェレシュテが使用している様子。
ガデラーザはいちおう変形はしてたけど、極端に形が変わるわけでもなし。露出した頭部は00エースのコミック版で確認できます。ブレイブとジンクスIVは、量産型MSとしての役目をきっちり全うしていたので、指揮官機と量産機両方とも買います。




上映が終了し照明が付いて、劇場の雰囲気は「ざわ・・・ざわ・・・」してましたが、隣の席にいた若い女性二人組が「え、なに? わかんない・・・・」って言ってたのが率直な感想なんだろうなぁ・・・・最後はELS中核で身体を乗っ取られたデカルトがラスボスで戦って勝利とかの方が作品としては解り易いんだろうけど、それをやらなかったのは敢えてなんでしょう。オチの付け方に賛否両論なのは容易に想像付きますが、活発に議論されてこそ先のネタに繋がるので、自分も敢えて結論付けるような事は書きません。まぁ強いていうなら最後にもうちょいカタルシスが欲しかったとは思うけど。ストーリーは00世界として完全に完結していたので、外伝はしばらく展開すると思うけど、続編の類はないんでしょうね。
2007年の6月「新しいガンダムをやるらしい」という情報を察知し、当時の土6枠で予告が流れるのではないかと予想を立て、観てなかった『地球へ・・・』を予約録画したら予想的中。動いてる4体のガンダムにテンション上がりまくったのがもう3年前っすよ・・・・・いろいろと思う所はあるけど、DVD/BDの発売もあるし、今後も00について書く機会はいくらでもあるのでこの辺で。
00製作スタッフの皆さんにお疲れ様でした。と感謝と労いの言葉をかけつつ、次のガンダムTVシリーズは来年春か秋くらいにはやって欲しいな!