映画『プロメア』 感想

promare-movie.com

観てきました。もう事前の露出から感じられる以上にロボットアニメだったよ。


以下、ネタバレ感想

 

 


初っ端から、メカメカしいハシゴ車、コンテナが変形する換装型パワードスーツ、カタパルト射出シーケンスという、ギミック満載のメカ描写にテンション上がる。いきなり敵の親玉との闘という、最初から出し惜しみ無しで掴みはバッチリ。

戦闘終了後に設定解説会話パート。災害レスキュー物なのでシカゴファイア的な、ハリウッド映画か海外ドラマみたいなノリ。主人公・ガロがリスペクトする上司・堺雅人が実は敵とか、テロリスト扱いされてるリオ達が実は迫害されてるとか、ヒロイン姉妹の関係性とか、海外展開も意識してか、実に王道設定ですな。

堺雅人が地球脱出のため箱舟を建造しているという、えらくスケールのデカい話になって来たぞ・・・はいそうです。ここからが中島かずきの真骨頂。だいたいグレンラガンです。プロメア研究所の形状といい、コンピューター博士とか、ダイナミック感があり過ぎる。バーニッシュの出す炎は平行世界の生命体だった。次元断裂とか多次元宇宙とか、どっかで聞いた事あるワードが沢山出てくるが、まぁグレンラガンの平行世界って事なんだろう。どう見てもマジンガーな出撃法でロボが登場。デザインがダサい、「デウスエクスマキナ」という、ありきたりな名前でガロもテンション上がらない。そこでリオが形状変更・リオデガロン誕生! 俺を誰だと思っていやがる! 

それに対し堺雅人もロボ持ち出してきて巨大ロボ戦。数々の超兵器を繰り出し来るが、劇中何度も突っ込まれている通り、その技術を地球に使えよ! ガロが勝手に付けた名前に突っ込んだりとか、ロボ戦がすごい頭悪くて最高でした(褒め言葉)

決着は付かず、リオは攫われ、マトイテッカーのドリル(!)で救出。瀕死のリオを人工呼吸で蘇生。いやもうこれ完全にリオくんがヒロインだろう。地球を救うため、リオデガロンが惑星サイズに巨大化・天元突破ガロデリオン! 地球を一度燃やし尽くした事でバーニッシュは浄化され、普通の人間に戻る。これから復興が待っている、炎上したら消火すればいいだけだ。めでたしめでたし。

 



難しい事はなにもない。頭からっぽにして観れる痛快娯楽大作でした。最初の30分が掴み、次の30分がドラマ。残り1時間はずっとクライマックスだった。入場特典の短編アニメも観たけど、10分ほどでガロのデビュー戦が描かれており、これを本編からばっさりカットする事で最初からクライマックス感を出せて、テンポを維持していたのだと思うと、構成が上手かったと思います。


ギミック満載SFメカ、よく解らないSF理論、ひたすら熱いロボ戦、それらが今石監督とTRIGGERスタッフによるハイクオリティ作画演出と、中島かずきのスケールのでかい漢のドラマとして描かれるんだから、好物のフルコースみたいな作品でした。もう100%ロボットアニメだったんだけど、広い層にアピールすべく、その辺は伏せてたんだろうねえ。監督も脚本も気合の入ったロボオタなので、その辺は溢れんばかりに伝わってくる。ロボが見たい層へは公開してからでも広まるだろうし。

声はメイン3人は俳優だったけど、松ケンも早乙女太一も問題なし。そして堺雅人、もともとブレイク前は声優業やってたし、リーガルハイでの怪演などを見れば、テンションを上げたアニメ声はいけるとは思ってたけど予想以上でしたな。有名人起用でも適材適所ができていたと思います。他のキャラは完全にキルラキル同窓会。

 

技術的な面では、炎、光、灰など有機的なエフェクトを三角形や四角形で表現したり、キャラクターの色彩を淡くして質感をマットにしたりと「手描きをCGに寄せる」という表現がしてあったように見えた。これにより手描きとCGの境目が曖昧になり、CGがけっこう使われてたわりに違和感がほとんど無かったように思う。CGなのか手描きなのか判別が付かない部分がけっこうあったし。

 

TRIGGERと今石監督という尖ったアニメ作ってる所が、一般向けの娯楽作品を制作し、なおかつオタクも満足という、高いバランスで成り立ってる作品だと思います。GRIDMANもヒットしたし、TRIGGERの今後の躍進に期待したいであります。TVシリーズでロボアニメやってくんかなー。